特別企画展の案内:「植村直己・わが青春の山岳部」

明治大学ローツェ登山隊 学術隊 – 明治大学創立120周年・山岳部創部80周年記念

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活動期間夏隊=2002(平成14)年 8 月
秋隊=2002(平成14)年10月 〜 11月
目的クーンブ・ヒマール地域の景観構造とエコ・ツーリズム調査、およびアンナプルナ周辺地域の自然と社会の変貌調査。
調査団の構成夏隊:隊長=岡澤修一(昭和47年卒、千葉英和高等学校教諭)
隊員=山崎憲治(都立富士高等学校教諭)、細田浩(浦和第一女子高等学校教諭)、松永和子(都立町田高等学校教諭)、須合常隆(多摩大学目黒高等学校教諭) 以上 5 名
秋隊:隊長=小疇尚(山岳部長・文学部教授)
隊員=赤坂暢穂(中京大学教授)、横山秀司(九州産業大学教授)、下川和夫(札幌大学教授) 以上4名
目次

解説

夏隊

 アンナプルナ周辺地域における調査は、山崎隊員を除く 4 名で行われた。出発地のベシサハールはアンナプルナ自然保護地域(ACAP)の入り口で、ここにはアンナプルナ自然保護地域プロジェクトの事務所があり、トレッカーや登山者は入山許可を受けるシステムになっていた。

 ベシサハールは米の二期作やバナナが生育するラトソル(赤色土)の熱帯気候地域で、ここから高度を上げると棚田は見事な温帯気候の地域へと変わる。さらにマナンまでルートが高くなると、気候(植生)は温帯から冷帯に変化する。この高度の推移を見ると、標高1300m付近で水田はなくなり、トウモロコシなどの畑作が多くなる。2000mを超えるとリンゴの果樹園もある針葉樹が増えていく。さらに2600mを超えるとモレーン(氷堆積)が現れた。

 マナンからトロン・パスまでの標高3500m以上になると高木は見られなくなり、4000mを超えると植生は少なくなる。そして、5000mを超えると植生は全くなくなった。

 一方、標高3700m付近まで畑が点在し、4200m付近ではジャガイモを栽培している所もあった。マナン周辺ではピンク色の花が咲くソバ畑も見られるが、トロン・パスに入ると景観が一気に変わる。

 峠の手前は湿潤だが峠を越えると乾燥地帯となり、4000m付近まで下ると植物は見られるが高木はなく、農耕より家畜の飼育が目立つようになる。ムクチナートの近くで小麦の栽培や杏が見られ、前年に訪れたパキスタンのフンザに似た光景となった。

秋隊

 一方、秋隊の大学教員組 4 名の学術隊は、クーンブとムスタンで調査と観察を行った。初めにヒマラヤ山脈の谷間、標高2860mにあるルクラに向かう。

 ルクラを離れ、 2 週間の日程でローツェ南壁直下のショマレまで往復し、各国のトレッカーにアンケート調査を行った。

 発展途上国のネパールにとって、世界最高峰エベレストをはじめ標高8000mを超える巨峰 8 座がある東西800㎞のネパール・ヒマラヤは、観光産業の自然宝庫である。

 こうした自然は勿論のこと、多様な文化も豊富なことから、世界の中でも魅力的な観光地の一つになっている。それは同時に観光産業が外貨獲得の中核であり、ネパール経済にとって重要な位置を占めていた。

 当時はトレッキングやエコ・ツーリズムが盛んになり、新たな発展期を迎えていた。こうした変容を調べるため、世界各国から集まるトレッカーに旅行の動機や目的などのアンケート調査を実施した。

参考文献
  • 「炉辺通信」139号(2003年  3  月発行)岡澤修一「明治大学ローツェ登山隊2002  学術隊夏隊の行動概要」
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