山岳部創部百周年記念事業ならびに連合父母会創立50周年記念事業として、今秋東ネパールの未踏峰アニデッシュチュリ(6960m)にOB学生混合隊として挑みます。
登山隊の構成は4名。天野和明(OB)、宮津洸太郎(OB)、川嵜摩周(学生)、川嶋すず菜(学生)。
挨拶 – 炉辺会 会長 吉澤清
我々明治大学体育会山岳部は創部100周年を迎えました。
創部80周年では「ドリームプロジェクト」として3年間で 8000m峰を4座(ガッシャーブルムⅠ峰、Ⅱ峰、ローツェ峰、アンナプルナⅠ峰)に登り、地球上にある 8000 峰 14 座のすべてに、仲間たちの力で登頂することができました。
創部90周年では学生山岳部員及び若手 OB の育成を主目的に、我々の仲間で世界的な冒険家・植村直己因縁の山である北米大陸の最高峰マッキンリー(現 デナリ)(6194m)に登頂することができました。
この度の創部100周年ではネパールヒマラヤの未踏峰アニデッシュチュリ(ホワイト・ウエイブ)6,960m の登頂を目指します。OB 学生混合隊です。
この登山隊の成果は単に参加メンバーの知識・経験の獲得にとどまらず、明治大学体育会山岳部の次の 100 年に繋がり、多大な貢献をもたらすものと確信しております。
関係者各位の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。
趣旨 – アニデッシュ チュリ登山隊 2023 隊長 天野 和明
明治大学体育会山岳部は 2022 年に創設 100 周年を迎えました。
創部以来の 100 年間において、現役学生、OB 問わず国内外で幅広い登山活動を実践し、成果を上げております。特にヒマラヤ登山においては 1970 年の日本山岳会隊の植村直己先輩によるエベレスト日本人初登頂から 2003 年のドリームプロジェクトによる足掛け 33 年におよんだ 8,000m 峰全 14 座の完登など、高峰への登山隊を数多く派遣して参りました。
この度、未踏峰のアルパインスタイルでの初登頂を主目標として、東ネパール シッキムに位置する「Anidesh Chuli(White Wave)6,960m」峰へトライすることとなりました。過去に 8,000m 峰全 14 座に足跡を残してきた当部においては、標高でいえばそんなに高くない目標かもしれません。
しかしながら、7,000m以上の未踏峰、未踏ルートが少なくなった昨今のヒマラヤ登山においては、6,000m 峰でのよりフェアなスタイルでの試みが評価されつつある時代背景となっています。隊長となる天野がリーダーを務めた年度の方針が「より高く、未知なる領域へ」というものでした。その基本に立ち返り、過去数度の挑戦をはねのけてきたアニデッシュチュリの山頂に、明治大学山岳部の次の 100 年のステップとなるような足跡を残したいと思います。
今回はベテラン 1 名に中堅メンバー、学生を含めた初遠征メンバー2 名と、少人数ではありますが、ネパールという国家、自然、山、現地のローカルなどに敬意を払いつつ、シンプルにサステナブルに沿った登山活動をしてまいります。
Anidesh Chuli(White Wave)について
アニデッシュ チュリ(別名ホワイトウェイブ)。シッキム (インド) と国境を接する東ネパールのカンチェンジュンガ山脈、カンチェンジュンガ氷河支流ラムタン氷河の西に約 8km に上流に位置する。
Anidesha 山群の未踏峰。標高 6,960m(Latitude 27º 43′ 07、Longitude 88º 04′ 15)。クンバカルナ氷河とラムタン氷河を隔てる側尾根にある美しい山で、アニデッシュは現地語で「instruction(命令・指示)」の意。
2013 年にニュージーランド隊が北東壁~北東稜から、2018 年に青山学院大学山岳部隊が北面からトライしているが未踏。
計画概要
山岳部創部 100 周年記念事業
連合父母会創立 50 周年記念事業
ネパール ヒマラヤ NEPAL Himalaya
アニデッシュ チュリ(ホワイトウェイブ)登山隊 2023
Anidesh Chuli(White Wave)Exp 2023
目的
Anidesh Chuli(White Wave)6,960m 初登頂
ルート および スタイル
ルート候補は2つ。情報が少ないため、現地に行って最終決定する可能性もある
- 西稜で順応活動ののち、南壁からアルパインスタイルでのトライ
下降は西稜もしくは同ルート - 北面で順化活動ののち、北壁ダイレクトルート、もしくは北東稜からトライ
氷河や雪の状態などによってルートは検討する
ゴミはもちろん、ギアを含めてできるだけ山の中に物を残さないクリーンでシンプルな登山を心がける
遠征期間
2023 年 9 月 25 日~11 月 8 日(45 日間)
隊員名簿
天野 和明
【渉外、装備、記録、会計】
- 2001 年 法学部卒業
- IFMGA 国際山岳ガイド
- 石井スポーツ登山学校校長
- ノースフェイスアスリート
<主な登山経歴>
2001 年 カラコルム「ガッシャーブルムⅡ峰(8,035m) 南西稜」から登頂
2001 年 カラコルム「同Ⅰ峰(8,068m) 北壁ジャパニーズクーロワール」から無酸素登頂
2002 年 ネパール「ローツェ(8,516m)西壁」日本人無酸素初登頂
2003 年 ネパール「アンナプルナ 1 峰(8,091m) 南壁英国ルート」より無酸素登頂
2005 年 カナダ バンフ周辺アイス、ミックスクライミング(ポーラーサーカスなど)
2006 年 チベット 「チョオユー(8,201m)南西壁敗退、西北西稜」から無酸素登頂
2006 年 チベット 「シシャパンマ(8,013m)北壁」より無酸素アルパインスタイルでの登頂
2006 年 ネパール 「アマダブラム(6,812m)南西稜」より登頂
2008 年 インドヒマラヤ 「カランカ(6,931m)北壁」アルパインスタイルで初登攀
2008 年 ピオレドールアジア(韓国)受賞
2009 年 ピオレドール(フランス)日本人初受賞
2009 年 ヨーロッパアルプス 「マッターホルン東壁~ヘルンリリッジ」 フリーソロ
2009 年 カラコルム 「スパンティーク(7,027m)北西壁」アルパインスタイル第 3 登
2010 年 アラスカ ルース氷河 Mt.チャーチ北壁新ルート「My Friend Forever」開拓
2010 年 アラスカ ルース氷河 無名峰東壁「Optimist」開拓
2010 年 アラスカ デナリ(6,190m)南西壁「デナリダイヤモンド」フリー初登、通算第 6 登
2010 年 アラスカ ハンター北壁「Moon Flower」オールフリーで頭まで往復 48 時間ラウンドトリップ
宮津 洸太郎
【装備、輸送、医療、食糧】
- 2017 年 農学部農学科卒業
<主な登山経歴>
2011 年 アラスカ デナリ(6,190m)ウエストバットレスより登頂
2015 年 ネパール ジャネⅡ峰(6,318m)初登頂
2018 年 ネパール チャムラン(7,319m)西稜 6,500m まで
2019 年 アラスカ デナリ ((6,190m) ウエストバットレスより登頂
2020 年 3 月 鹿島槍ヶ岳北壁正面ルンゼ
2021 年 3 月 鹿島槍ヶ岳北壁中央ルンゼ
2023 年 3 月 剱岳早月尾根
川嵜 摩周
【食糧、記録、撮影、通信】
- 政治経済学部経済学科
<主な登山経歴>
大学 1 年冬 東尾根~蓮華岳
大学 2 年春 双子尾根~白馬岳
大学 3 年春 赤谷尾根~赤谷山
大学 4 年春 早月尾根~剱岳
冬季登攀 八ヶ岳東面・西面、宝剣岳東面・西面
川嶋 すず菜
【山岳部主将、記録】
- 農学部2年
<主な登山経歴>
大学 1 年冬 八方尾根
大学 1 年春 早月尾根
冬季登攀 八ヶ岳西面